5月10日に開催された教頭研修・県立学校事務長研修の所長あいさつでは、はじめに危機管理について私の経験談を紹介した上で、主に組織の「和の要」の役割についてお話しさせていただきました。用いたのは扇子の写真です。この話題は平成25年に教頭として県立弘前実業高校に着任した当時に、研修で得た知見に私なりにアレンジを加えて伝承したものです。
扇子には要という骨を束ねる金具があります。この絞まり具合が日々刻々実に微妙で、これが緩くなると学校全体の空気を受け止めることができません。これでは、情報のグリップ感が乏しいまま扇子自体の値打ちが下がってしまうという悪循環を招き、結果的に学校全体の士気が下がってしまうことになりかねません。逆に堅すぎると扇子の中骨がタイミングよく広がらないという事態を招きます。これはこれで窮屈で、延いては教室で過ごしている子どもにとっても良い環境が整いません。緩すぎず堅すぎず、常に調整することが和を保つ秘訣であると教えられました。
では、そのためには何をすれば良いのか、これは言うまでもなく「対話」です。こちらから脚を運んで話を聴く対話と様々な方面から聞こえてくる声を受け止めつつ行う対話です。今回はソナーとアンテナを例にしました。苦しい時こそユーモアを、相手の心を酌み取る感受性の豊かさが対話の質を高めるものと思っています。笑いと涙は感動の源泉であり、感動こそ教育の要だと思うからです。
結びに、本県の十二湖の青池の画像とともに己を振り返る「今日の『明鏡止水』の時を持つ」ことをお伝えしたところです。まずはこの1年、健康に留意されて教頭・事務長として充実した日々を過ごされることに心からエールを送ります。