2021/05/24 | 中堅教諭等資質向上前期研修(県立学校)開講式 | | by サイト管理者 |
---|
5月24日(月)は県立学校の中堅教諭等資質向上前期研修開講式で冒頭の挨拶をしました。教職経験が4年から6年を経過した先生たちは、教科指導はもとより学級経営や生徒指導など教育活動全般にわたって自信が深まる一方で、学校における役割が増し、更に保護者や地域から寄せられる期待も大きくなり、責任の大きさをあらためて実感していることと思います。
挨拶の中では『易経』を引用しました。中でも「離為火」(りいか)の考え方について伝えたところです。日本を代表する経営者である稲盛和夫氏は「人生の成果を決するものは、考え方と熱意と能力のかけ算である」と述べています。「離為火」の思想では、まさに情熱の炎の正しい燃やし方に道があると説かれており、このことは教職に携わる者のみならず、人生を相渉り仕事をしていく上で根幹となる姿勢ではないかと思っています。
二つ目の話題として、『月刊兵庫教育』5月号で神戸大学の渡邊信隆教授の「危険な職業」という文章について深い共感を得ましたのでそのことを伝えました。ある学校の職員室に掲示されていた「教師は持ち前の知識でその日その日を送ることの出来る危険な職業です」という言葉を例にしたコラムです。ちょうど中堅に位置している先生方にとっては、渡邊先生のいう「30歳前後でその危険に心底気づくかことができるか否か」という分岐点に差し掛かった時期であろうと思います。私自身の反省からも仕事に見通しが利き始め、慣れてきたころに「決河」の危うさがあったという実感があります。
今回、中堅研修前期の先生方にはスライド冒頭で白神山地の静謐な「湧き水」を、結びには勢い盛んな奥入瀬の「渓流」の写真を使用しました。ここには、一人一人の先生方がこれからの教職人生を大河の流れのように大きく成長させて欲しいというメッセージを込めています。