7月6日(水)C22時間的・空間的な関係を探究する理科野外実習講座[地学]を弘前市(岩木山周辺)の研修地で開催しました。県立郷土館学芸課長の島口天氏を講師に迎え、森山(第1期活動における溶岩ドーム)・新期火山麓扇状地(百沢面)を車窓から眺めながら観察ポイントに向かいました。ポイント1の中村川林道沿いの露頭で百沢面を構成している土石流堆積物を観察し、ポイント2の溶岩流の上につくられた津軽岩木スカイラインを通って8合目駐車場では第1期活動でできた黒森(溶岩ドーム)や第3期活動による山頂付近の溶岩ドーム(鳥海山溶岩ドーム、岩木山頂西溶岩ドーム、岩木山中央溶岩ドーム、岩木山頂ドーム、鳥ノ海溶岩ドーム)しました。その後、嶽温泉付近にあるお山の駅岩木さんぽ館で火山の恵みとして嶽温泉について歴史や活用例を確認し、蔵助沢に移動して、岩木山百沢土石流で流下した巨石を観察しました。高照神社では、敷石として活用されている兼平石(古岩木山が山体崩壊を起こした際に生じた岩屑なだれ堆積物中の輝石安山岩)を観察し、北麓の十腰内や十面沢方面に移動し、車窓から流れ山を観察したり、土地の活用例を観察したりしながら研修を行いました。受講された先生方は、講義・観察を通して、活火山「岩木火山」の形成史・火山活動とその影響についてじっくり学び、考えることができたものと思います。
〈受講者の感想〉
・学習内容としては高校レベルのものが多かったが、火山の分類や溶岩ドームとマグマの粘り気の関係の学習などに生かしたい。地域素材を教材化する具体例を通じて、時間的・空間的な関係について探究的に活動させる方法を十分に学習でき、現場での実践に生かせそうだと実感した。
・岩木山の成り立ちやその周辺の地層などについて大変詳しく教えていただいた。毎日見ている岩木山だが、3期にわたる火山活動によって現在の形が形成されていることを知り、とても興味深かった。生物を専門としているので、岩木山の植生と併せて地学的な話をすることで生徒の興味関心を広げることができるのではないかと考えた。
・今回の研修では改めて自分の目で見て体感することの大切さを再確認した。現代は様々な情報機器があるので表面的な知識を学んだり、授業で紹介したりすることもできるが、自分で感じたものはとても印象に残ると感じた。今回の研修で教えていただいたことを直接授業に落とし込むのは難しいかもしれないが、実物を見たり実験をしたりして感じる小さな発見や感動をこれからも大切にしていきたい。
・よく目にする岩木山の風景だが、今回の講座のお話を聞き、また、改めて地学的に解説をしていただき、大変勉強になった。青森県内の地学的な知識が得られるので楽しみな講座である。来年も参加したい。